スティーブン・R・コヴィー氏の有名な著書、「7つの習慣」で述べられている概念に
「インサイドアウト」というものがあります。
ご存知の方も多いとは思いますが、インサイドアウトとは、簡単に言えば自分の内面に働きかけ、自分の外側、つまり他人や環境に影響を与えるということを意味します。
これだけだと分かりにくいかと思いますので例をあげると、私たちは上司に理不尽な怒られ方をした際に、私は悪くない、全て上司の理不尽に問題がある、と思ってしまいがちです。
(事実、上司の方に問題があるのかもしれません。)
そんな時は、あの人さえいなければとか、あの人が変わってくれさえすれば、なんてことを思ってしまいがちです。
ちなみにこれはインサイドアウトの考え方とは逆の、アウトサイドインの考え方であり、自分の外側が変わってくれれば自分が幸せになれるという考え方です。
しかしこの考え方には問題があります。
それは、変えることができるのは自分だけであって、他人や環境は決して変えることが出来ないということです。
変えることのできないことにばかり不満を持ったり愚痴をこぼしたりして力を注いでも、全く意味が無いということです。
例えどんなに理不尽な怒られ方をしたとしても、不当な扱いを受けたとしても、自分の内面に働きかけ、自分に落ち度はなかったのか、このようなことにならないよう自分で改善出来ることは無いのかと考えてみることが重要になるわけです。
なぜなら、自分は悪くない、自分に問題は無いと思った瞬間に外部に責任があると言ったことになるからです。
確かにそうなのかもしれません。
外部に問題があるのかもしれません。
しかし、前述したように、そこに目を向けている限り、今の環境を変えることは出来ないわけです。
変えられるのは自分だけなのです。
自分を変えることで、少しずつ自分自身の影響力を広げていき、少しずつ周りに影響を与えられる人間になるわけです。
もしアウトサイドインの考え方で、自分の外側が変わってくれることを期待していたとしても、他人や環境は変えられないものですから、ただただ変わってくれることを祈ることしかできません。
その変化はいつやってくるのか、ということです。
ハッキリ言って、あなたが死ぬまでに変わるのかどうかも分かりませんし、もっと環境が悪くなることだってあります。
そこまで待って、仮に環境が好転したとしてもただそれだけで、あなたの人格は何一つ成長しないままです。
そしてまた新たな不満を覚えては、周りが変わればいいのにと思うわけです。
つまり、これでは周りに依存しているだけということです。
周りが変わらなければ私は上手くやっていけないと言っているようなものです。
そんなことはないはずです。
あなたは周りがどうであろうが、あなたの人生をあなた自身が切り拓くことの出来る人間であるはずです。
私の昔の話になるのですが、私の知らないところで上司Aが部下Bに指示を出し、その部下がミスをし、大きなトラブルになったことがあります。
トラブル自体はすぐに収集がついたものの、その時に上司Aから驚くべき通達がありました。
私は上司Aの部下であり、部下Bの上司であります。
だから、部下Bの責任は上司であるお前にあるため、始末書を提出しなさいということです。
当然それにより、ボーナスを減額という扱いにもなりました。
ちなみに直接的に指示を出した上司Aにはなんのお咎めもありませんでした。
その当時は、その理不尽さに怒りを覚え、暴れ出してしまいそうにもなりました。
そしてまさにアウトサイドインの考え方で、上司Aさえいなければとも思いました。
しかし、当然上司Aはいなくならないですからね。
例えばこのような状況の場合、今考えれば、そもそも上司Aに指示を出させた自分が悪いと思います。
つまり、私の管理が行き届いていれば、上司Aのところまで部下Bはそのような相談をしに行くことはなく、私がいなかったとしても私に電話で連絡をしてきたりしていたでしょう。
しかし私を飛ばして上司Aまで相談に行くということは、管理体制がなっていなかったということと、普段から連携がうまく取れていなかったと言えるでしょう。
この体制を変えるだけで、同じようなミスはなくなります。
事実その後は同じようなミスはありません。
理不尽な扱いを受け、感情に身を任せて、自分の外側が変わればいいのにと思ったところで何も変わらないわけです。
しかし、自分の内面に働きかければ、解決の糸口を見つけることが出来るため、何らかの変化は望めるわけです。
そしてそのようにして自分自身の内面に働きかけることで自分のレベルが上がっていき、自分が影響を与えられる範囲が徐々に広がっていき、いつしか周りに影響を与えらえるほど大きな人間になれるわけです。
それは会社で言えば出世という形なのかもしれませんし、上司や部下からの信頼という形なのかもしれません。
そのような影響を与えられるようになるためには、自分では変えることのできない外側のことに目を向けるのではなく、やはりまずは自分の内面に働きかけることが大切なわけです。
インサイドアウトの考え方、これは成長のプロセスの大原則だと言えるでしょう。
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