弘法筆を選ばず。
という言葉があります。
これは弘法大師がどのような筆であっても立派な字を書くことから、本当の名人や達人、その道を究めた人は、道具の良し悪しに関わらず見事に使いこなすことを表す言葉です。
逆に、下手な人ほど道具のせいにするという戒めの言葉でもあります。
また、一流の料理人は冷蔵庫にある余り物で見事に美味しい料理を作ると言われます。
どんな道具や材料、状況や環境であっても、その条件でいかに素晴らしい物を生み出すかということが大切であり、決して出来ないと言ってはいけません。
しかし、私たちは仕事でよくこのように言っていないでしょうか。
こんな上司の下ではやってられない。
こんな部下たちでは業績が上がらない。
こんな会社ではやってられない。
あるいはビジネスではなくても、
お金が無いから出来ない。
時間がないから出来ない。
人脈が無いから出来ない。
条件が悪い。
タイミングが悪い。
などなど。
ついつい自分が今ある環境や条件に対して愚痴を言い、出来ない理由を述べてしまってはいないでしょうか。
弘法大師様が聞いていれば雷でも落とされそうな勢いです。
もちろん、時には最高の筆を使って最高の作品を作ることも大切であり、本来人間はそれを夢見るものであり、そうしたいはずです。
最終的にはそのように、最高の環境で、最高の条件で、最高の物を生み出す、これを目指すべきだと思います。
しかし、それはチャンスを掴んだ人だけが上ることの出来るステージであるということを理解しておかなければなりません。
そのようなチャンスを掴み、そのステージに上ることの出来る人は、やはり普段からどんな条件であろうとも一生懸命取り組み成果を出している人であり、筆を選ばない人であるわけです。
筆を選ばず、与えられた環境の中で最高のパフォーマンスを出せる人が、最高の筆を持つ権利が与えられるわけです。
つまり、そのステージは自分で勝ち取る必要があるということです。
誰もがはじめから好条件を与えられていたわけではないですし、そもそも実績のない人にそのような条件を与える理由もありません。
どんな環境でも、どんな条件でも、最高のパフォーマンスを見せてくれるから、周りも最高の条件を整えてくれるようになるわけです。
どんな環境でも、どんな条件でも、最高のパフォーマンスを出し続けるから、環境が整ってくるわけです。
だからこそ、どんな環境であれ、どんな条件であれ、出来ないと言ってしまうのではなく、その中でどれだけのパフォーマンスを出すことが出来るのかということに焦点を当てなければなりません。
最高のパフォーマンスを出すためには「あれ」と「これ」と「それ」が足りないと考えるのではなく、どんな条件であってもその中で最高のパフォーマンスを出して見せる。
このような考え方が、色々なインフラが整っていたり、たくさんの物が溢れている今の時代には特に必要な考え方なのではないかと思うわけです。
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