お客様は神様ではない。

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ビジネス

「お客様は神様」という言葉がある。
これはもともと浪曲師、演歌歌手として有名な、今は亡き三波春夫さんの言葉で、これが世間に広まって浸透した言葉。

しかし、この「お客様は神様」という言葉は間違って浸透してしまっている。

三波春夫さんの真意は、
「舞台に立つときは神前で祈るときのように、敬虔な気持ちで、心を昇華しなければ、完璧な藝(げい)は出来ない」
ということだと、生前に本人が語っている。

つまり、お金を使って何かを買ってくれたり、観てくれたり、サービスを受けてくれるお客様そのものが神様であるということではなく、雑念を取り払い、自分の内側を澄み切った状態にしなければ、自分の最高のパフォーマンスを出すことが出来ないから、まるで神前にいるかのような状態にするためにお客様を神様だと見る、という意味となる。

けれど、間違って浸透してしまったこの言葉はどんどんエスカレートし、今ではクレーマーやカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラを生み出す原因の一部となってしまっていることもある。
お客様側からすると最高の盾として使われる言葉であり、また店員側としても、そのようにお客様を扱わなければ店員として失格だという風潮さえ生んでいる。

けれどそれは間違いであり、お客様は神様ではない。
むしろお客様を神様だと崇めているうちは、どんな商売もうまくいかないと思う。

あのパナソニックの創業者であり、経営の神様と呼ばれる松下幸之助さんは、
商売とは、感動を与えることである。
という名言を残している。

この言葉からも分かるように、商売で一番大切なことは物を売ることよりも、感動を与えることだと言える。
つまり、お客様が求めているのは物ではなく、その会社なり従業員なりのカリスマ性や充足感なのだと思う。

特に物が溢れている今の時代、お客様からすればどこのお店から買っても同じものを手に入れることが出来る。
そうであれば、なぜあなたのお店から物を買うのかという根拠が必要になってくる。

神様を崇めるように、下からゴマすりをするような商売のやり方ではとてもじゃないけどあなたのお店から物を買う根拠にはならない。
なぜなら、ほとんどの人がお客様は神様だと勘違いしていて、同じようにお客様を崇めて御用聞きになる会社やお店は腐るほどあるから。
そこには全く優位性はない。

お客様が求めているのはカリスマ性や充足感であり、お客様の心を満たすことが商売で一番大切な要素なのだと思う。

カリスマ店員がいれば、お客様は少々値段が高かろうが、遠方だろうが、わざわざそのカリスマ店員に会いに来てくれるし、わざわざそのカリスマ店員から商品を買ってくれる。

つまり、お客様をまるで神様のように崇め、下から下から持ち上げて、奴隷のように従う行為はむしろ逆効果であり、ある意味ではお客様の上に立ち、お客様を導いていく、お客様の気持ちを満たしていくことが大事なのだと思う。

そういう意味では、一般的に間違って浸透している「お客様は神様」という考え方は邪魔になる。

では、お客様の上に立ってないがしろにしていいのかというと、もちろんそうではない。
三波春夫さんのおっしゃるように、自分の最高のパフォーマンスを出すためには神前で祈るときのように、敬虔な気持ちを持つ必要がある。
つまり、お客様は神様ではないし、ある意味では自分が上に立つ必要があるけれども、お客様に敬意を払わなくていいとか、誠意を持たなくていいという意味ではない。
むしろその気持ちを持たずして自分の最高のパフォーマンスを出すことは出来ないと三波春夫さんはおっしゃっている。
大前提として、そのような気持ちを持っているからこそ、お客様に対して最高のパフォーマンスを出すことが出来るのだと思う。

最近では、コロナ禍の影響で色々なモンスタークレーマーが出てきている。
テレビなんかでは、このようなクレーマーはどうしたらいいのか、なんて話題になっているけれど、それもこれも、「お客様は神様」という間違えた考え方が浸透しているからだと思う。

誰が見てもおかしいクレーマーは、お店に迷惑なのはもちろん、他の人の迷惑にもなる。

果たして神様がそのような行為をするだろうか?
するはずがないと思う。
やっぱりお客様は神様ではない。

お客様が他のお客様に迷惑となる行為をしたならば、それをやめていただく、あるいはお帰りいただくこともお店の仕事。
それもお店としてお客様を導く一つの手段だと思う。
もちろんその場合でも、神前で祈るときのように、敬虔な気持ちを持つ必要がある。
その判断や姿勢、態度など、それらは全て他のお客様が見ているものだと思う。
そしてそれが独自性であり、優位性やカリスマ性になりえる行動なのだと思う。

逆に、ただ言いなりになっている店員を見るとどう思うか・・・それはご想像にお任せしようと思う。

お客様はあくまで大切なお客様だから、敬意や誠意を持つことは当然だけれど、決して言いなりになる必要も崇める必要もないと思う。
この根強い間違った考え方が、本来の商売のあり方を見えにくくしてしまっていると思う。

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