【書評:年収90万円でハッピーライフ/大原扁理】あなたの価値観に合ったライフスタイルとは?

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『年収90万円でハッピーライフ』
著者:大原扁理
出版/太田出版

本書の概要

この本は、20代で世を諦め、あんまり働かなくなり、いまやほとんど人と関わらないようになりながらも年収90万円でハッピーライフを送る大原扁理さんの実生活と考え方が書かれた本。

年収90万円でハッピーライフ?そんなことが出来るわけない、と思う人も多いと思うけれど、大原扁理さんは実際にそれで週休5日という、とにかくなるべく働かず、人との関わりを最小限に抑え、幸せな隠居生活を送っている。

とは言え、大原扁理さんも著書の中で何度か述べているように、この本は決して年収90万円で暮らすためのハウトゥー本ではないし、そういう暮らしをおすすめする本でもない。
年収90万円でハッピーライフを送ることが出来るという実例を紹介しつつ、
本当にその働き方や暮らし、生き方はあなたに合ってますか?
と疑問を投げかけてくれる本だと言える。

バリバリ働きたい人は週5で働くもよし、休みを返上してそれ以上働くもよし。
けれど、そうでないのであれば、社会の常識で週5で働くよりも、自分の価値観に合った働き方をした方がいいのではないか?
世間一般的な暮らしをするよりも、自分の価値観に合った暮らし方をした方がいいのではないか?
いつの間にやら自分の価値観に沿った生き方ではなく、常識に沿った生き方をしているのではないか?
そんな疑問を投げかけてくれる本であり、それに気づかせてくれる本だと言える。

そのように考えた結果、大原扁理さんの行きついた先はなるべく働かず、自由に生きたいという結論に至っただけであり、決してそれをおすすめしているわけではない。
自分の価値観と向き合った結果、大原扁理さんのように働かずに自由に生きたいと思うのであればそれでいいし、逆にバリバリ働いてお金を稼ぎたいというのであればそれでいい。

要するに、社会の常識に沿って行動するのではなく、そこに疑問を持ち、自分の価値観に沿って行動することが幸せへの道につながると教えてくれる本だと言える。

特に、働くことや努力することが美学であり、右にならえの日本人にとって、出来るだけ働かずに生活していくという考え方と実例は、今までの概念にはあまりなかったものであり、とても参考になると思う。

本書は今まで無意識のうちに作り上げられた自分の概念を、一度取り払い、本来の自分の価値観と向き合うために、非常に参考になる本だと思う。

本書の目次

第一章 ハッピーライフの基本とは
第二章 フツーって、何?
第三章 衣食住を実感する暮らし
第四章 毎日のハッピー思考術

始めの方に年収90万円でハッピーライフを送る大原扁理さんの暮らし方が詳細に書かれており、それに沿って、要所要所にハッピーライフを送るための考え方が書かれている。

何度も言うけれど、 この本は決して年収90万円で暮らすためのハウトゥー本ではないし、そういう暮らしをおすすめする本でもない。
けれど、年収90万円でもハッピーライフを送ることが出来る、あまり働かなくても幸せに生きられるというのであれば、そのライフスタイルや考え方を知ることで、確実に視野は広がると思う。
視野が広がれば、自分の価値観を見えにくくしている既成概念を取り除くことが出来、自分の価値観に沿った幸せなライフスタイルを送りやすくなると思う。

どうすれば自分が幸せか?

年収90万円の生活。
これだけを聞くと、自分もそうなりたい!と思う人は少ないと思う。
一般的に見れば、正直貧困層の苦しい生活にしか見えないと思う。
実際に、大原扁理さんも世間からかわいそうな目で見られることもあるとか。
けれど、本人は実際にこれを幸せだと感じている。

そもそも、何が幸せだと思うのかは人によって全然違う。

大原扁理さんのように、決して裕福ではないかもしれないけれど、年収90万円で、2万円台のアパートに住みながらも、働かずに自由に生きることが幸せだと感じる人もいる。

対照的に、働くことそのものが大好きで生きがいだという人もいるだろうし、少々不自由になったとしても、稼ぎまって贅沢することが幸せだという人もいるだろうし、出世したり有名になったりして承認欲求をガンガン満たすことが幸せだという人もいるだろうし、友達や彼女など、とにかくたくさんのコミュニティーを持ち、出来る限り人と一緒に過ごすことが幸せだという人もいると思う。

人には人の幸せの形があるから、どのような生き方が正しいとか、間違っているということはないし、何が幸せなのかということも、他人が決めることではない。
これについて、大原扁理さんはこのように書いている。

”何が幸せと思うかは人によって全然違うんですから。わたしみたいに2万円台のアパートに住んでても幸せと思える人もいれば、苦しい人もいるし、億ションに住んでブイブイいわすのが幸せっていう人もいれば、それがしんどい人もいる。じゃあ、どんな場合にも当てはまる、いちばん大切なことって何でしょうか?それは、「どうすれば自分が幸せか?」を、他の誰でもなく、自分自身が知っていることじゃないかな。”

幸せに生きるためには、「どうすれば自分が幸せか?」を知ること。
当たり前のように思うことだけれど、常識、世間体、承認欲求というものがあるから、これが意外と難しい。
けれど、自分にとって何が幸せなのかを追求せずに、常識、世間体、承認欲求の中から幸せを見つけようとすれば、他人のための人生を生きることになると思う。

個性って、何?

今の世の中は個人の時代になってきていると思う。
そのような時代になってきた背景は色々あると思うけれど、一番の理由は、Facebook、インスタグラム、TwitterなどのSNSや、ブログ、YouTubeなど、それらのツールを使って個人がメディア化出来るようになってきたからだと思う。
つまり、自分を主張出来るインフラが整ってきたからだと思う。

だからこそ、個性というものが、今まで以上に求められている時代になってきたとも言える。

けれど、個性って、何?
人と違うこと?
確かに十人十色という言葉があるように、人それぞれに違いがあり、その違いが個性と言えるかもしれない。

けれど、個性を出すためにわざと人と違う行動を取ろうとしていないか?
わざと人と違う格好をしてはいないか?
わざと人と違う見解を述べたりしていないか?
個性を出すために、自分らしさを失くしていないか?

大原扁理さんは個性についてこのように書いている。

個性というのは、その人がその人であること、この一点に尽きます。それはとても無意識で、無作為のことです。たとえば成人式で日本刀振り回しちゃう若者とか、アイスケースにダイブしちゃう高校生とか、なんかスカッとアホなことしたい気持ちは超わかるんだけど、あれだと個性ではなくてただの悪目立ちになっちゃう。これは若いときは勘違いしやすいんだけれど、人の注目をひくことが目的になってる言動は、およそ個性とはかけ離れたものです。 ~中略~ 個性の時代とかいって、まるで人と違うことが時代の命題みたいになってますけど、みんながみんな人と違うことを目的にしたら、逆に没個性で不健康な気がする。個性は外に求めるものではなくて、日々の地道な積み重ねの中から、否応なくにじみ出てくるものだと思います。一朝一夕にではなく、毎日、コツコツ「自分」をやっていくこと。それをすっとばして、本当の意味で個性的になることはできないと思う。本当に個性的な人って、よく見るとわかるけど、人の注目を集めようとしてるっていうよりは、ただひたすら「自分」をやってるだけなんですよね。

つまり、個性とは作るものではなく自然と出来るものだと思う。

人と違うことをしよう、個性を出そうとしている時点で、それは周りを意識した言動であり、作り上げられた演出であり、本当の個性ではないのだと思う。

個性とは、自分の価値観と行動から自然と生まれてくるものであり、そこに無理はないのだと思う。

自分の価値観に合った生き方

最後に、私がこの著書の最大のポイントになると思った部分を抜粋させてもらう。

”与えられた環境も物欲も、必要なお金の量も人によって違うのに、なんでみんな一律に週5で働かなきゃいけないんだろう、って疑問に思ったことないですか?必要なだけ働けば満足なのか、それ以上にバリバリ働くか。わたしはそこを社会に決められるんじゃなくて、自分で決めたかったんです。多摩の激安アパートに引っ越してから精神的に余裕ができたので、時間をかけて、自分にちょうどいいワークライフバランスを探してみることにしました。自分はどう考えても「必要なだけ働けば満足派」なので、まず生活水準を下げられるところまで下げる。必要最低限のお金がいくらかわかれば、そこから週に何日働けばいいか、逆算できると思ったんです。しかも、必要なお金が少なければ少ないほど、働かなくていい。まずは生活費のかからない方向に頑張って、そこから労働も減らしていこう、と。”

私たちは自分らしく生きていきたいと考えながらも、いつの間にやら自分の価値観に沿った生き方ではなく、常識に沿った生き方をしていることが多々あると思う。
そのうちのひとつが、この著書のテーマともなっている働き方に表れていると思う。

週5で働いているという人は多いと思うけれど、その働き方は誰が決めたのかというと、紛れもなく世間一般の常識だと思う。

別にそれが悪いことだとは言わない。
週5で働きたい人は働けばいいと思うし、もっと働きたい人は休みを返上して働いたり、副業をしても良いと思う。

けれど、働きたくない人は働かないという選択肢や権利もあっていいんじゃないかとも思う。

もちろん、ただ誰かの援助を受けながら働かないというのは良いとは思わないけれど、大原扁理さんのように、自分で責任を取りながら、働かない工夫をするならば、誰に文句を言われる筋合いもないはず。

要するに、どんな生き方があってもいいんだけれど、その生き方は本当に自分の価値観に合った生き方なのかを見つめなおすことはとても大事だと思う。

その生き方が、常識や他人の意見、世間体や承認欲求というようなものに支配されている生き方なのであれば、それは自分の価値観に合った生き方だとは言えないと思う。

自分の価値観に合わない生き方では、本当の意味で幸せな人生を送ることは出来ない。

この著書は、そのことに気づかせてくれ、自分の価値観、自分の働き方、自分の生き方を見つめ直すきっかけを与えてくれる著書だと思う。

著者の紹介

大原扁理(おおはらへんり)
1985年愛知県生まれ。

25歳から東京で週休5日の隠居生活を始め、年収100万円以下で6年間暮らす。
現在は台湾に移住し、海外でも隠居生活が出来るのか実験中。

著書に
「20代で隠居: 週休5日の快適生活」(K&Bパブリッシャーズ)
「なるべく働きたくない人のためのお金の話」(百万年書房)
などがある。

ブログ
大原扁理のブログ by Ameba

Twitter
大原扁理(@oharahenri)

今回紹介した書籍
『年収90万円でハッピーライフ』
著者:大原扁理
出版/太田出版

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